ISO14001
(1)ISO14000シリーズ
平成4年の地球サミットの 前後から、「持続可能な開発」を実現に向けた手法の一つとして、事業者の環境マネジメントに関する関心が高まってきました。
ICC(国際商工会議所)、 BCSD(持続可能な開発のための経済人会議)、EU(欧州連合)など、様々な組織で検討が開始されました。
こうした動きを踏まえて、ISO(国際標準化機構)では、平成5年から環境マネジメントに関わる様々な規格の検討を開始しました。
これがISO14000シリーズと呼ばれるものです。
ISO14000シリーズは、環境マネジメントシステムを中心として、環境監査、環境パフォーマンス評価、環境ラベル、ライフサイクルアセスメントなど、環境マネジメントを支援する様々な手法に関する規格から構成されています。
この中で中心となるのが、「環境マネジメントシステムの仕様」を定めているISO14001です。
ISO14001は、平成8年に発行されました。
ISOの国際規格は、企業が作る製品の仕様や業務の手順が各国でバラバラでは不都合が多いので、基本的な部分は共通化しようという目的で定められているものです。
規格には法的な拘束力はなく、規格に沿った取組をするかどうかは、企業の自主的な判断に委ねられています。
(2)ISO14001の概要
ISO14001は、環境マネジメントシステムの仕様(スペック)を定めた規格であり、ISO規格に沿った環境マネジメントシステムを構築する際に守らなければいけない事項が盛り込まれています。
ISO14001の基本的な構造は、PDCAサイクルと呼ばれ、(1)方針・計画(Plan)、(2)実施(Do)、(3)点検(Check)、(4)是正・見直し(Act)というプロセスを繰り返すことにより、環境マネジメントのレベルを継続的に改善していこうというものであり、その基本的な流れは、下の図のようになっています。
また、方針の策定などに最高経営層の責任ある関与を求め、トップダウン型の管理を想定していることも、この規格の特徴と言えます。
この規格に沿って環境マネジメントシステムを構築することにより、経営者のリーダーシップの下に環境対策を継続的に改善していく、効果的な仕組みを作ることができるでしょう。
ISO14001は、事業者の経営面での管理手法について定めているものであり、具体的な対策の内容や水準を定めるものではありません。
また、規格は一般的な記述となっており、具体的な管理方法は、かなりの程度、個々の事業者に委ねられています。
無理をして難しいシステムを作るのではなく、それぞれの組織の実状にあったシステムを工夫することが重要だと言えるでしょう。
(3)審査登録制度
ISO14001のシステムを構築した場合、そのことを自ら宣言する(自己宣言)か、外部の機関に証明してもらう(第三者認証)ことが可能です。
第三者認証を受けようとする場合には、我が国では、財団法人日本適合性認定協会(JAB) を中心とした審査登録制度が整備されています。
個々の事業者が規格に適合しているかどうかは、審査登録機関(株式会社や公益法人など様々な団体があります)が審査します。
そして、審査登録機関の質を確保するために、審査登録機関をJABが認定しています。
審査登録を受けるかどうか、また、受けるとした場合、どの審査登録機関に依頼するかは、個々の事業者が、自らの状況や目的、特性に応じて判断することが重要でしょう。
なお、財団法人日本適合性認定協会の調査によるISO14001審査登録状況が、同協会のホームページで公開されています。